【花音side】




夏休みが始まった。



まだ始まって間もないのに、もう優くんと話したいなって思ってる自分がいる。




そんな気持ちを紛らわすために、私は優くんからもらったノートを毎日のように眺めていた。




たくさんの言葉がつづられているこのノート。




その文字のひとつひとつが、私の想い。

私だけの言葉なんだ。



そう思うと嬉しかった。




このノートがあるだけで、なんだか優くんと話してるような気持ちになれる。


大きなお守りみたい。

私にとって大切なもの。




私はそんなノートをパタンッと閉じると、縁側から吹いてくる風を感じた。



その風は、優しく私の髪を揺らす。