海の言霊の力により、南川家から数十キロはあるであろう東峰院家へ一瞬でたどり着いた。

こんな術が自分にも使えたら、寝坊しても遅刻しないだろうな、なんて呑気なことを考えていた。

「着きました、菖蒲様。この時間だと・・・円様は修行なされていると思いますので、中庭にいらっしゃると思います」

「・・・円ってどんな人?」

何も知らないままこんなことになってしまって、一緒に住むことになるのだから、少しくらいは知っておかなければいけない。

海は表情を変えずに語り出す。