「麻友理さん、これ、どっち??」


綾子の結婚式を明日に控え、私たちは式場にウエディングフラワーのセッティングに来ていた。


私たち―――。

私と、ダイキ君と、翔平君。


昨日から店を臨時休業して、翔平君にも手伝ってもらい、何とか間に合った感じ。

メインテーブル、ゲストテーブル共に、深紅のダリアを中心に鮮やかなグリーンを添えて、スタイリッシュに纏めてみたけど…。

うん、我ながら、良い感じじゃない?

少し落ち着いた雰囲気が、華やかな綾子を引き立ててくれるはず。


「後は??」


「ウエルカムボード、確認してほしいんだけど。」


「麻友理さん、ちょっとお願いします!」


声をかけてくるのは、翔平君で。

あれからダイキ君は、必要最低限の言葉しか投げかけてこない。


いいけどさ。

いいけどね。

やりにくいじゃん―――。

少しくらいきっかけをくれたっていいのに、さ。


ダイキ君の仕事が完璧過ぎて、声をかける隙すら与えてもらえない。


んも、!!


「ね、翔平君。ダイキ君、何とかしてよ。」


「あ、―――。

麻友理さんがおちょくるからですよ。

ダイキ、根が真面目なんですから…ったく。」


「冗談が通じないんだから。」


呆れた顔をして笑うと、翔平君はそっと顔を近づけ、小さな声で呟いた。