私がいた籠の中は薄暗くて、とにかく冷たい空気が流れてて綺麗とはお世辞でも言えないほど汚なかった。



そこに漂う匂いですら、汚れていたんだと思う。


鉄格子のついた窓はあったものの開け放たれた記憶はない。


空は見えるけど、陽の光は入らない。



外部と遮断するかのような重たそうな鉄の扉は、1日に6回しか開かない為ずっとそこはメジメとしていた。




私は長い期間そこに飼われていたから、それが当たり前のように感じ始めていた。



よく言えば、3食昼寝付きのいい物件。



多少の苦痛を我慢すればいいだけの事。


ましてや、それも徐々に慣れてくる。



そう考えれば、籠の中の生活も悪くはなかったように思える。