それから数日たったある日。
「紗葉ちゃん、お隣さんに人いるから、よろしくね。」
看護師さんに言われた言葉。
…何回目かな。お隣さんがいなくなるたびに言われてきた。
「病気の方ですか…?」
「ううん、怪我みたい。ちょうど紗葉ちゃんと同い年の男の子よ。“椎名さん”って子。」
「…、怪我、?」
…怪我ってことは死なないんだ。
死ぬ恐怖を知らないんだ。
…私たちの苦しみ、知らないんだ。
そう思うと羨ましさと嫉妬が絡まりあって黒いものになる。
…ずるいよ。
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