「えぇ!? 逃げてきた!?」


 私と涼しかいない放課後の教室で、今日のお昼休みにあったことを話したら、大声で叫ばれた。


 千夏はソフトテニス部、純子は美術部に入っているから、放課後は涼とふたりでいることが多い。


「亜希、バカでしょ! 知り合うチャンスだったのに」


 そう言われて、ちょっと落ち込む。


 私だってそう思ったけど、いきなり過ぎてどうしていいかわかんなかったんだもん。


「しかも、お弁当置いてくるとか。ほんとバカ」


 そうなのだ。


 涼の言う通り本当にバカで、ギャラリーにお弁当落としたまま、走って逃げてきちゃったんだよね。


「うぅ……。バカでも何でもいいから、取りに行くのついてきてよー!」


 半泣きで涼に言うけど、相手にしてくれない。