「赤色ってね、太陽みたいで綺麗だねーねーお母さん!」
「お母さん?」
少女が自分の後ろを歩く母の異変を感じて振り向きました。
「……あ……ぁ」
「お母さん!」
「ねぇ、どうして?どうしてわたしがナイフを持ってるの?」
少女の手にはナイフが握られていたのです。
血のついたナイフと、血のついた服。
「いや、嫌だ!どうしてお母さんに向かってナイフを振り上げているの?」
少女は泣き叫びました。
お母さんは“まだ”生きているのに。
■せ。
誰かが少女にそう囁きました。
「誰が言ってるの?」
■せ。
そう囁いたのは少女でした。
グサッ
大きな悲鳴が上がります。
少女は狂ったかのように誰だったかわからない人だったものにナイフを突き立てます。
少女は、警察官に取り押さえられました。