隆裕はあたしからフォークを奪う。 「はい、あーん」 口のなかにケーキの味が広がる。 「おいしい…」 「ほら、おいしい」 ふと目が合う。 無言でお互い顔が近づく。 甘い。 「このご馳走も作ったの?」 「がんばりました」 照れ臭そうに言うと、 ひとつひとつ大切に食べる。 「…………」 そっちはお母さんにレシピを教えてもらって必死で作った。