「ヒュ~。結構可愛い子ちゃんいるじゃん」



新しい教室に着くなり、女好きの光らしい第一声に呆れ返る。



こいつの頭の中は、年中女のことしかないのかよ。



よく知らない女にまでニコニコ笑って、手を振りまくる光を放置して、さっさと窓際の自分の席に着く。



「なぁ、大翔も少しはニッコリしてやれよ。

あの女の子たちの熱い視線、気付いてないわけじゃないだろ」



いつの間にか、俺の席の真後ろに来た光がニヤニヤ笑っていた。



「お前じゃないんだから、そんなのいちいち気にするか」



「相変わらずお堅いよねぇ。

そんなんじゃ、恋も知らないまま、かった~い頭のお地蔵さんみたいなおじいちゃんになっちゃうんじゃない?」



「何だそれ。もしそうなったら、お前の柔らかすぎるフニャフニャの脳みそに、そのかった~い頭で頭突きしてやるから、覚悟しろ」



「ほんとにやりそうだから、それ。

もう、冗談なのにマジ顔で返すなよ」



鞄から鏡を取り出して、髪形をチェックし始めた光。