誤解を解けなかった。
しかもアイツは遥斗といやがった。
アイツは遥斗のことが好きなのか?
そんな現実を見て俺はどうでもよくなった。
何をそこまで頑張ったのか、なぜ好きになんかなったのか。

だから俺は菜槻からの告白を受けた。
この気持ちは、菜槻を好きになれば忘れられるんだろ?


だが何故か、遥斗が悠里に近づいていったとき体が勝手に動いていた。
いつの間にこんなに悠里への思いが強くなっていたのだろうか?


「ねぇ誠!聞いてんの!?」


目の前には菜槻が立っていた。
こちらを見上げ頬を膨らまし見上げていた。
飢えている男なら萌えるぐらいの可愛さであろう。
俺にはまったくわからないが。


「…なんだよ。」


「部活行かなくていいの?」


首をかしげて話しかけてくる菜槻。


「あぁ…そろそろ行く。」


「なら行く前にキスして!」


「…はぁ?」


菜槻は背伸びまでして俺にせがるように唇を寄せてきた。
寄ってくる菜槻に対して俺は冷たく突き放した。


「んなもん…別にいーだろ。」


「駄目!キスしてくんないと帰らない!」


「ったくめんどくせーな。」


俺は強引に菜槻の顔を引き寄せて荒くキスをした。
菜槻を顔からはなそうとすると菜槻からキスをしてきた。
これが結構長い。

離れない菜槻を無理やり離して俺は言った。


「じゃあまた明日な。」


と言うと菜槻は嬉しそうな笑顔で俺に手を振っていた。



そのうち好きになれるよ、な?
心にそう言い聞かせて俺は教室に一回戻った。