見たくなかった。
あんなシーン。

好きだったのに…誰にだってああやって簡単に心を許すんだ…。

やっぱりまーくんも、アイツと…一緒…?


「何で信じていたんだろ…?」


雨が降っているなかがむしゃらに走っていたうちは髪をかきあげた。
濡れた髪の毛からは雫が流れ落ち、吐く息は白く儚く消える。

何しているんだろ…?
早く帰らなきゃ。

今日は雨で良かった。
自分でもありえないくらい涙が流れていた。
それを雨は優しく流してくれているような気がした。


「ただいま…。」


ああ…そうだった。
うちは一人だったんだ。

ここのところ毎日が楽しくって一人ってことも気にしていなかったのに…。

濡れたままベットに飛び込んだ。


「なんで…どうして…?」


一人は寂しい。
そんな誰だって都合が悪くなると裏切ることを躊躇なくすること前学んだばっかりなのに…。

何で信じてしまったのだろう?
しかもなんで好きになっちゃったんだろう?

あぁ、まーくんが優しいからだ。

人間なんて都合よく生きている面倒な生き物なんだって。
簡単に感情とか気持ちで物事を決めちゃう最低なやつなんだって。


「わ、け…わかっん、ないよ…。」


うちはそのままうずくまるように泣き崩れた。





一人って苦しい…。
あの頃は楽しかったなぁ…。











ねぇ?
お父さん、お母さん。



私ももうすぐそちらに行けるから待っててね。



また楽しくあの頃みたいに遊ぼうよ?



もうお薬もやめていいかな?



だってもう無理だってわかっているもん…。



ねぇ、どうしたらいいですか?