「はぁ…どうしよう…。」


俺、椎名誠(しいな まこと)はバスケ部所属の男子高生です。
彼女も作らずバスケだけに人生を注いできた。

それは言いすぎか…。

独り言を言っていたらホームルームが始まっていた。
見た目がゴリラみたいな教師がギャップのある声で怒鳴りあげていた。


「椎名ぁ!聞いているのか!?」


「あ、聞いてますよ。」


そういって話を流した。


「はぁ…じゃあ転校生を紹介するぞ。」




呆れた顔をしながら先生がそう言った瞬間クラスがドッっと盛り上がった。


「なぁ、誠。どんな子だと思う?」


後ろを振り返ってみると目を輝かせながら親友の竹内遥斗(たけうち はると)が話しかけてきた。


「ん~まぁ女の子じゃない?」


俺は興味がなかったから適当に相槌をうって窓の外をぼんやりと眺めた。

そのときドアから転校生が入って来た。


「初めまして、神山悠里(かみやま ゆうり)です。今日から宜しくお願いします。」


見た目はロングヘアーのタレ目の女子だった。
いかにも運動部に入っていたようには見えなかった。
彼女はペコリと頭をさげ笑顔でみんなを見ていた。


「神山は親の事情で転校してきたんだ。仲良くしてやってくれ。」


そして先生がこっちを見て指を指してきた。


「じゃあ神山は椎名の隣に座れ。」


「はい。」


俺は立ち上がって


「なんでなんだよ!?遥斗の隣も空いてるじゃねぇか!」


クラスがざわめきだした。

まず俺の隣なんか来たらせっかくの一人っきりが邪魔されてしまうかもしれない。


「誠は本当に女の子に興味がないんだね(笑」


興味がないわけではないが生まれてからこの17年間恋をしたことがないだけで好きと言う気持ちがわからないだけだ。
遥斗に言ってやろうと思ったが今は構ってる場合じゃない。


「…椎名、先生に対する口がなってないぞ。これは強制だ。あと歯向かった罰として校舎を案内してやれ。」


「はぁ?意味わかんねぇ。誰がそんな面倒なことやるかよ。」


そう言って俺はそっぽを向いた。が。


「つべこべ言わずに行ってこい!」


とゴリラ野郎(先生)に言われて廊下に放り出された。


「意味わかんねぇ…。あのクソゴリラが…!」


隣でキョトンとしている転校生がいた。


「校内案内してくれるんですよね?」


コイツ…誰だったっけ…?


「あっ…名前…。」


「?神山悠里です。」


「あ…神山か…。」


そう言うと神山は俺の手を取って、


「校内案内宜しくお願いします。」


と笑顔で深々と頭を下げた。


面倒なことに巻き込まれたものだ…。