幼馴染みの突然の訃報を知ったのは、真夜中だった。

 
その日はうっかりケータイのアラームを掛け忘れ、寝坊した。


慌て過ぎていたのかケータイを部屋に忘れたまま出勤し、仕事帰りに同僚の恋愛相談に乗り、終電で帰路に着いた。

 
社会人1年目、1人暮らしを始めて早7ヵ月____誰もいない部屋に帰って来るのにはもう慣れた。

 
電気のスイッチを付け、ここにあったのかとベッドの上に放り投げてあったケータイを手に取った。

 
着信が10件以上も入っていた。


全部自宅からだった。


夕方から夜に掛けて、最後の電話が留守電になっていた。


1人っ子でしかも女の子だからって過保護に連絡をしてくる両親じゃなかった。


だから不安になった。


何かあった?誰に?おそるおそる画面にタッチする。

 
「千秋?何で電話に出ないの?仕事忙しいの?」

 
お母さんの声だった。


少しイラだったような口調に、嗚咽が交じる。


泣いてる?そう思った時に、

 
「兼ちゃんが亡くなったの。遅くてもいいから、電話ちょうだい_____」

 
そう言って、電話が切れた。