──かりんが青木君と交際をスタートさせてから数日後。


「なずな」


昼休み、右京に呼ばれて私は屋上に来ていた。


見上げればどんよりとした曇り空。

視線を下げると、同じように暗い表情の右京が立っている。


「……右京、お昼は食べた?」


他愛もない会話をしてみると、右京は作った頬笑みを浮かべて。


「ああ、食べたよ」


それだけ答えると黙ってフェンスからの景色を眺めた。


「……なずな」

「うん?」

「かりんに……彼氏ができたんだって?」


ああ、やっぱりそれだった。


そんな予感はしてたんだ。


「……うん、できた」

「そうか、本当だったんだ」


声色が寂しそうで、私の胸がチクンと痛くなる。