ケータイ小説 野いちご

淡い色に染まるとき。

第2章
♂夏の途中♀

沖縄から帰ると、彼はまたお仕事が始まった。

私は宿題を早めに終わらせ、家事をしたり遊びに行ったりもした。

そんな日々が続いていると、彼がどこかに電話していた。


「そうなんだけどさ。俺もしばらくは動けない。一週間くらい…え?あぁ、別にいいけど。梓に聞いてみるわ」


お皿を洗っていると、電話を片手に私のところへやってきた。

何だろうと思い、水と手を止めてお皿を置いた。何だろう?


「俺の両親、まぁ、お前にとったらお爺ちゃんとお婆ちゃんになるんだが。今度、遊びに行かないか?俺は仕事あるから一緒にいてやれないんだけどな…」


彼のお父さんとお母さん?そういえば、彼が私を引き取るということになった時、一度だけ顔を合わせたことがある。

彼にとっても似ていて、優しい人達だった。


また会いたいと思っていたからすごく嬉しい。


「行きたい?1週間か、延びるかもしんないけどいいか?」


いいよ。お邪魔じゃなければ行ってみたい。

何度も頷くと笑いながらまた電話で話し始めた。


「じゃ、今度そっち連れて行くわ。え?あぁ、もずくさえ出なけりゃいいって。お菓子はこっちが用意する…分かった。それじゃ、また連絡する」


私は早速部屋へと向かい、準備を始めた。

リュックに服やタオル、メモ帳とペンを詰め込んだ。手ぶらで行くのも悪いから、後でお菓子か何かを買おう。彼と一緒に選びに行けたら行きたい。


スケッチブックと色鉛筆を引っ張り出していると、彼は笑いながら部屋へ入ってきた。


「早いなぁ。しばらく俺に会えないんだぞ?」


そうだ、彼はお仕事があるから一緒にいられないんだった。

気付いてしまうと寂しさが押し寄せてくる。彼に抱きついてごめんねと謝れば、いいよと言ってくれた。



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