あの日の記憶は、今も鮮明に。



俺の脳内に侵食して、ゆっくりと蝕んで
いく。








麗ちゃんを交代で送り迎えしようと提案
したのは、俺だった。



もちろんそれは、彼女が"姫"だから。そ
れと。



「初めは、俺が行くね」



───少しの、私情を挟んで。


麗ちゃんと少しでいいから話がしたい。
きっと彼女は、俺に怯えるだろうから。



昨日の一件で、俺はあの子に苦手意識を
持たれてしまっただろう。



そもそも初めから、あの子は俺らに好意
なんて持っていないんだから。───ま
あ、持っているような女の子を、姫にな
んてしないけど。



ああ、でも、と雅の顔を思い浮かべる。



雅は逆に、それが惜しいのか。