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「…。」


ふと目を開けると、
目の前には散らかった座敷に
酔い潰れて寝ている皆の姿が見えた。


襖の隙間からは、
月明かりが漏れていて、
まだ夜中なのが分かる。


どうやらあたしも
酔い潰れて寝ていたらしい。


頭がガンガンするなー…と思いながら
朝まで寝てようと思い、再び目を閉じようとすると、


「…。」


ふと違和感を覚えた。


あたしは皆と同じで
畳の上に寝ているはずなのに、
何故か皆より目線が高い。


何でだろうとぼーっと考えた結果、


「…あ。」


あたしの頭の下にだけ、
枕がある事に気づいた←


…誰かが枕を借りてきてくれたのか?


なんて考えながら、
あたしは再び目を閉じた。


「…。」


…いやいやちょっと待て。


やっぱり違和感。


だってこの枕、
フカフカじゃなくて、
なんかこう…


あたしは、
頭の下にある枕を手でつついてみた。


「…。」


ぷにぷに??
…いや、むちむち??


今流行りの低反発どころか、
猛反発してんだけど←


…。


そして、地味に暖かい。
寝てるあたしの体温じゃなくて、
枕自体が暖かい。


まさかの発熱機能付き?←


この時期に、その機能は
全く不必要だと思うんだけど。


あれですか、
夢の膝枕気分が味わえますよー、
…みたいな。


…そういえば昔、よく、
お母さんやお父さんに膝枕してもらってたっけ。


…懐かしーな…。


…。


いやいやいやいや。
懐かしーな、じゃねーよ。


コレ、


「…足?」


ガチの膝枕じゃないですか←


まさかのお母さん?
いやいやそれはあり得ない←


「…。」


ふと聞こえた、スースーという寝息に
嫌な予感が頭をよぎる。


恐る恐る、
寝息の聞こえる真上を見ると…










…。










「(なーんーでーだぁーーー!!!)」








何で、何で、









何で土方の膝枕にお世話になってんだーーーーーー!!??








こ、事の成り行きが
全く分からん!!


あたしはとりあえず、
土方に起きられたら面倒なので、
出来るだけ慎重に起き上がった。


あり得なくても、
お母さんだったらいいのにと
必死に祈ったあたしの願いは
見事に打ち砕かれた←


そして、
土方が胡座だったことに、
内心ホッとした←


だって、土方が正座…


うん。キモい。←失礼


「…と、とりあえず、
外に出よう…。」


あたしは、
一気に上昇した体温を下げるべく、
廊下へ出ようとくるりと向きを変えた。


が。


「…ん?やっと起きたか…。
テメェの所為で足が痺れたじゃねぇか」


「…!」


お、起きなさった…!


恐る恐る後ろを振り向くと、
土方が欠伸をしながら、
足を伸ばしていた←


「…え、えと、ぐっともーにんぐ…」


「…まだ朝じゃねぇぞ。」


ごめんなさい、
ちょっとボケてみただけです、
真面目に返されると辛いです←


「…じゃあ、ちょっと涼みに「待たんかい。」わぶっ!!」


四つん這いになって、
廊下へ出ようとしたら、
土方に着物の裾を踏んづけられて
前へつんのめった←


そのまま畳へ←


「い"った…」


あたしが、
そのまま畳に突っ伏していると、
土方が含み笑いを浮かべて
あたしの顔を覗き込んだ。


「わざわざ膝枕してやったのに、礼のひとつも言えねぇのかテメェは。
我儘日向さんよぉ?」


「…ヒッ」


何だよ、
あたしは何をやらかした!?


我儘!?
あたしは膝枕に飢えていたのか!?


あたしが顔を青くしていると、
土方はニヤッと怪しい笑みを浮かべた。


「まさかなー、お前があんな事やこんな事をしてくるとはなぁ?」


「あ、あんな事やこんな事!?」


その瞬間、








『此処を何処だと思ってんだ。
…男の天国、島原だぜ?』










あの時の土方のセリフが
頭の中をグルグルと駆け巡った。


「そうだぜ?
あんな事、や、こんな事、だ。」


意味深に区切って言う土方。


※あんな事=蹴ったりw
※こんな事=蹴ったりww


…。


…ま、まさか、


「わあああああああああ!!!!!」


あたしは、
真っ赤になる顔を両手で覆って、
廊下へ逃げようとしたが、









「何で逃げんだ?日向」










腕をむんずと掴まれた←