香港国際空港に降り立ってすぐ、ケータイの電源を入れた。

理沙からメールが届いている。

『お姉ちゃん、どう思う? タケルは私が他の男の人に口説かれても全然ヘーキな顔してるの。 その上、相手を焚き付けるようなこと言うし。私、彼の気持ちがわかりません』

それを読んで、カートを引きながら歩いていた足が止まった。

―――それって、理沙にちょっかい出す男がいるってこと? 萩野以外にそんな物好きな男が? あり得んでしょう……。

あたしは首をひねった。

―――ってか、これって、何げに自慢?

なんだか不愉快だったので、あたしも焚き付けることにした。

『浮気でもして萩野に思い知らせてやれば?』

送信。

ふっふっふ。

モメちゃえ。