「天沢」
パソコンに向かっていたら。
コーヒー片手に近づいてきた課長に声をかけられた。
振り返れば、課長はスルスルとコーヒーを啜っていて。
…なんともまぁ、のんきなもんです。
「なんですか?」
「明日の打ち合わせの準備は?」
「あー…っと…」
「まぁ…相良とのコンビだから、心配はしてないけどな」
「ははははは…」
再びスルスルとコーヒーを啜る課長に、苦笑いをする私。
…課長、申し訳ありませんがこの案件。
私じゃなくて。
相良がメインになりそうです…。
…とは言葉に出せるわけもなく。
私は苦笑いで誤魔化すしかなかった。
―ミーティングルームで相良に生殺しにされたあの時。
何がどうしてこうなったのか。
さっぱり検討のつかない私に、相良はニヤリと口角を持ち上げ言ったんだ。
「いい案、浮かんだ」と。