父に呼び出され、来たのは赤坂の花柳の老舗の店『梁山郭』


亡き母と父は店の座敷で知り合った。



俺の母は芸に秀でた美しい芸妓だったーーー・・・



母は俺を産んだが、産後の肥立ちが悪く…亡くなってしまった。



俺は乳母に養育され、母と過ごした記憶がない。




「今…何と申されましたか?父上」



「…中尊寺元財務大臣のお嬢様と見合いをする」



「…それは命令ですか?」



「貴様がそう言うのであれば命令だ」



綺麗な着物に袖を通し、着飾った芸妓が父の空の盃に酒を注ぐ。