あのあとは大変だった……


朝起きて、学校に行く準備をしているときにふ、と思い出す。



鬼火は…まぁ太陽たちが解散させただろうから、私の仕事が無くなったのはよかったんだけど。


いくら夜だと言ってもマントも無しで普通の道を通るのは目立って仕方がない。


月明かりもほのかにあったし。


仕方なく人の少なそうな道を選びながらマナさんのお店に着いたころには、もう大分時間が過ぎていた。


家に直接帰ってもよかったけど、マナさんのお店の方が近かったんだよね。


何か羽織るものを借りようとお店に入ると、まさかのまさか。


まだかな兄と音兄がいて驚いた。


それからはかな兄と音兄に質問攻めにされて……お、思い出したくもない。


久しぶりに音兄までもが怖かった。


冷ややかな笑顔で絶対零度の眼差しを受けながらのお説教はかなり精神的にきた。


それも私が2人に心配をかけているところからきているのが分かっていたから、反論もできないし。


改めて怪我とかもろもろしないようにしようと思った。



ウィッグを被り、カラコンをつける。


ほとんど何も入っていない軽い鞄も持ったところでつい、ため息が出る。



行きたくない……


理由はいろいろあるけど、とにかく行きたくない。面倒だし。


それに……あのとき、一瞬だけど太陽と目があった。



「それが一番の理由なんだよね……」