「行ってきます!」


誰もいないけれど…


私は部屋に向かってそう言った。


今日から出勤。


その緊張を少しでもほぐせるように。



時計を見ると、予定通りに出発できていた。


…よかった。


こういう時って、いつも出るのが遅れちゃうから…。


入社早々、恥をかくことにはならなさそう。



「がんばろ、私」


誰もいないエレベーターホールで、私は小さく呟いた。