幸せな新婚夫婦が目の前にいる。

それ以上見るのがつらくて、わたしは彼らから目をそらすと、逃げるように会場を出た。

ここに勤めてから、1ヶ月が経った。

仕事にはすっかり慣れたけど、心の中は複雑なままだった。

神様は一体何を考えているのだろうか?

再就職先が、結婚式場なんてどう言うつもりなのだろう?

会場を後にすると、わたしは息を吐いた。

「あ、つー」

わたしをこう呼ぶのは、あの人しかいない。

「根本さん」

彼はワゴンを押していた。

ワゴンには何本かのワインと氷の入ったワインクーラーが乗っていた。