荒廃した街に
天使が一人佇んでいた

掌には焼けただれた人形
幼かった少女の残した その想い出(かけら)が
砂塵へと化してゆく

見上げた空は蒼く澄み
そう 空(そこ)だけがあの頃と変わりない

人を愛し過ぎた天使(かれ)
瓦礫を踏む足は汚れ
雄々しかった翼(はね)も枯れてしまった

白い頬に流れるものが何なのか
天使(かれ)は初めて知ったのだった

何が正しい?
何を信じたらいい?

分かるのは ただ少女の笑顔――
失われた美しい影(それ)ばかり…