慶太と勇太は明るい感じであったがレオだけはちょっと違う感じがした。


口数も少ないし、何を考えているのかわからない雰囲気であった。


そして何より気になったのが腕の傷跡。


実は私はリストカット癖があった。


だから、レオを見てすぐにわかった。


男の子もやるんだ…
と思っていた。


男の子だからなのかわからないけれど、傷の数や深さは私がするようなちっさなものでは無かった。


もう切る場所が無いくらいで深さも酷かった。


そんなあたしの腕にはレオに比べたらちっさ過ぎる傷跡がいくつかあった。


レオもきっと見てわかったと思った。


そのことにはお互い特に触れずにその日は仲間五人で飲み明かした。


夏だった為気温もかなり上がっていてとても暑かった。


みんな飲み疲れて酔っ払い次々と脱落者が出て、順に皆横になっていた。


気づけば私の友達と勇太はなんだかいい感じになっていた。


私はレオと慶太といたのだが気づけば慶太の姿が見当たらなかった。


横になっていた私の横に何故かレオが近寄ってきた。


私はこの時、まだ処女であったしキスもしたことがなかった。


だから急接近されてなんだか戸惑っていた。


飲み過ぎて体調を崩したせいかレオは私に寒いと言ってくっついてきた。


私は慶太のことが気になっているはずだったのに何故だかこの時レオに抱きつかれて嫌じゃなかったしなんか…嬉しかった。


私はレオに聞いた。
「彼女とかいないの?」


するとレオは
「いるよ。いるけどもう別れる。」
と言っていた。


どうしてかは聞かず、私たちはそのままいた。


みんな完全に寝ちゃって、朝になったらまずいので勇太の家に行くことになった。


慶太は一人帰って行った。


気になっていたはずだった慶太のことは、レオに出会ったことで、なんだかどうでもよくなっていた。


そして私たちは四人で勇太の家に泊まることにした。


友達と勇太はいい感じだし、私もレオとくっついて寝ていたからなんだか嬉しくてたまらなかった。


私は眠れず、緊張もあったし寝たふりをしていた。
夏の暑さの中、六畳の部屋で四人、エアコンは無く扇風機だけで寝ていたのでめちゃくちゃ暑かった。


それなのにレオは私にくっついたり離れたりくっついたり離れたりを繰り返していて、私も寝たふりをしながら同じ様にしていたら、友達が
「なんなの?この二人!くっついたり離れたりくっついたり離れたり…仲が良いのか悪いのか、これじゃわからないよー」と言っていた。


私は起きていたけど寝たふりをして時の流れに身をまかせた。


この時私はレオのことをこう思った…
寂しいんだね…って。
出会って間も無いし、知らないことばかりなはずだけどそれだけはよくわかっていた私だった。