「………拓磨。」


足を止めて振り向くと、そこには、息を切らし肩を上下させている拓磨がいた。


「…どうしたの?」

「2時30分。」

「え?」

「体育館のステージでライブあるから。」

「ライブ…。」

「うん。俺らのバンド、2時半に出るから、来いよ。」


拓磨は高1の時から友達とバンドを組んでいる。

ステージの真ん中で、ギターを弾きながら歌っている姿はすごくかっこよくて、輝いてる。

楽しそうに歌っている拓磨を1番前で見るのが、私は大好きだった。


「…また、1番前で見ろよ。いつもみたいに。」