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「で、今後美琴に近づくなって約束させて一件落ねー。
しかし珍しいわね。黒崎の強固のガードをかい潜って美琴に近づくなんて」

広田の告白騒動があってから中庭のベンチに行くと、友達の園田彩乃が美琴の分のパンを持って座っていた。
そこで、大和がお昼を買いに行った事とさっきあった出来事を話すと、彩乃は楽しそうに笑った。

「広田とかいう男が言ってた事も分からなくはないけどね。
黒崎の外見なら遊び放題だろうし、普通そうしてると思うだろうし。
だから、美琴に二年近くも真剣に想いを寄せてるなんて信じがたいってとこなのかな」
「でも、大和がそんな人じゃないって見てれば分かるのに……」
「んー、まぁ仕方ないんじゃない? 男にはみんな浮気願望があるとかいうし、それであの顔だったら女なんか選びたい放題で浮気し放題とか思われてるのかもね。
それで、美琴が泣かされてるって勝手に勘違いした男が救世主気取りで黒崎のガード破ろうと決死になってるってところなんでしょ、きっと。
黒崎が尋常じゃないくらい美琴に一途だって事も知らずにね」

バカな王子たちね、と笑った彩乃が持っていたサンドイッチを頬張るのを見て、美琴も同じようにクリームパンを口に運ぶ。