―家庭訪問―






夏休み半ばのある週末。




斉藤先生から連絡があった。


徳田の両親が会ってくれることになったんだと。


何度電話をしても断られていた。





「今すぐ迎えに行きます」




俺は、斉藤先生の家の最寄の駅まで車で迎えに行った。



久しぶりのネクタイ姿に、かっこいい!!とはしゃいでくれた直。




俺の緊張をほぐしてくれた。







「今日は、徳田さんが出かけているらしいんです。その方がいろいろ話しやすいかもしれません」





助手席に座った斉藤先生が、手帳を開きながら真剣な口調で言った。





「ですね。どう切り出せばいいか、まだ迷い中なんですけど、何とか頑張りましょう」




俺はそう言って、気持ちを引き締めた。