思い返せば、谷崎と私の出会いはつい三ヶ月前に遡る。


「あの、もしかして、セブンのファンだったりしますか!?」

部活後の帰り道、歩く私の横をチャリで通り過ぎようとしたこの男は、いきなりブレーキをかけて私にそう尋ねた。

知らない人だったので誰?って疑問はもちろん沸いたけれど、

セブンの名が出ただけで、私は興奮状態になる。

「えっなんで!?はい、そうだったりします!」


『The Seven Letters』
直訳すると7通の手紙。通称“セブン”。


2年前から私はセブンの虜だ。爽やかなメロディに乗せられるちょっと狂気的な歌詞が一度聞いたらヤミツキになる。

つい半年前にメジャーデビューを果たしたばかりで、バンド好きでない限り知っている人は少ない。

学校内でセブンの話ができる人はおろか、セブンを知ってる、なんて人に出会ったことがなかった私は期待に胸を膨らませる。