「おはようございます、椿お嬢様」

「ごきげんよう」

「本日のお召し物は、いかがいたしましょうか?」

「そうね…。これにしようかしら」

「椿お嬢様、朝食の支度が出来ました」

「お疲れ様。ありがとう」


…毎日毎日、うんざりだ。

私は、もっと普通に暮らしたいの。

作り笑顔も、お嬢様のような言い方をするのも…。

本当、疲れる。


しかし、そんな優しくて綺麗なお嬢様を演じるのは、メイド達にだけだ。


「ねぇ翔太」

「はい。なんでしょう?」


私の専門執事、南風翔太にだけは、素のままの私を出している。


「私が、こんな生活嫌って事は、前から話しているよね?」

「はい」