【亜紀side】

「もう、ケガは大丈夫か?」

チェックアウトが済むと同時に、

そんな声をかけられた。


「…もう平気です」

元々、そんなに大したケガじゃなかった。

だから笑顔でそう言った。

すると・・・


「まだ痛いなら、抱きかかえるけど?」

と、耳元で囁かれ、

ボッと、顔が赤くなる。


そんな私たちを見た宿のご主人は、

クスッと笑った。

「本当に、仲がよろしいですね?」


その言葉に、宗吾は真顔で言う。

「当たり前じゃないですか?

私の大事な婚約者ですから」


その言葉に一瞬驚き、でもすぐに、

満面の笑顔になったご主人。


「それはおめでとうございます」

「・・・ああ、じゃあ、また来る」


「またのお越し、心よりお待ちしております」