「ね、ねぇ!!大智さん、待ってってば!!」



あたしの手を握って歩き出す大智さんを止めた。



「なぁ、奈緒」



大智さんは立ち止り正面を見たまま、あたしの名前を呼んだ。



手は、繋いだまま…。



「う、うん?」



戸惑いながらも、返事をしたあたし。



「俺さ…」



大智さんはクルリと振り向き、あたしを見た。



「うん…」



顔を上げ、目を合わせた。



大智さんの右手が、恐る恐るあたしの顔に近付き右の頬に触れた。



あたしは、それを振り払うことができなかった。