「ねぇ里桜、彼を紹介してって話、覚えてるよね?」


学校へ着くなり、あたしの席にやってきた美奈子は機嫌良さそうに話しかけたきた。


確かに少し前、紹介してと頼まれたけど、宇宙君を紹介するなんて一言も言っていない。


それなのに、あたしの意に反して話はどんどん進んでいく。


「……紹介……?」


「何その反応。忘れてたとか言わないよね?」


「忘れてたわけじゃないけど……」


「じゃあ、何?もしかして、彼をあたしに紹介したくないとか言わないよね?」


「それは……」


紹介したくない。


そうはっきり口にしたいのに、喉の奥で言葉が引っかかっている。


美奈子を拒否する代償が確実に大きいと分かっているから。