秋はさらに深まり、東北では、初霜が降りただの、山に初雪が降っただの、というニュースがちらほらと届きはじめた11月の半ば。

葉司の“オトコの娘"発言からはじまり、オトコの娘カフェに連れて行かれたり、葉司のそれはは高校時代からだった、と純平にゴリラ顔で言われたりした、ちょっと普通ではない出来事から、もうすぐ3週間が経とうとしていた。


“距離を置きたい"と言い出したのはあたしなのに、いざ隣に葉司がいなくなると、その日々は本当に寂しく、ひどく味気ない。

それでも食欲だけはあったあたしは、奈々と食事に行ったり、レンタルビデオ店のバイト帰りにバイト仲間と飲みに行ったり。

1人になる時間がなるべく少なくなるよう、大学、バイト先、部屋の往復を続けた。


1人になると、いろいろなことを一気に考えはじめてしまって発狂しそうになるのだ。

葉司とのこれからのことを考えていない、というわけではもちろんないけれど、まずは落ち着いて考えられるようになるまでの間は、この生活を続けていこうと思う。


そんなある日のこと。


「……ねえ奈々、なんか校門が変だよ」

「いやいや、校門は別に変じゃないでしょ。変なのはマコの日本語じゃい」