「葉司と顔合わせずらいなぁ、もう……」


週明け、月曜日。

次の講義が休講になったとかで思いがけず時間ができてしまったあたしは、行くあてもなく大学内をふらつきながら独り言をこぼした。

学園祭が終われば、季節は、秋が深まるどころか一気に冬めいていくように思う。

イチョウやケヤキの葉がキャンパス内のあちこちに落ちて、黄色い絨毯を作っている。

それを手持ちぶさたに蹴っていると……。


「あれ、マコじゃん!」

「奈々!」


親友の夏目奈々に出くわした。


「どうしたの、講義は?」

「休講だってさー。奈々こそどうしたの? 今の時間は講義なかったはずじゃない」

「うん、ちょっと学生課に用事があってね。それにもうすぐお昼だし、マコのノロケ話を聞きながらご飯でもどうかなーって思って」


お互いに駆け寄って、話をする。

ショートカットのさらさらした髪が秋風に揺れて、奈々は今日もとことん可愛い。

薄手のセーターにボレロ、ショーパンツにお洒落なストッキング、足元はスニーカーブーツ、ベレー帽を斜めに被っているところなんか、思わず抱きしめたくなってしまう。


「ノロケ話、ね……」

「ん?」