翌日。

ーーピンポーン。

あたしは葉司の部屋を訪ねた。


昨日は記念日と週末が重なって金曜日、土曜日の今日は、確か夜からファミレスのバイトで、日中はデートをする約束をしていたから、それを思い出して訪ねてみたのだ。

本当は泊まって、朝ご飯を作ったり、どこに出かけようかと話をしたり、ラブラブな2年目の朝を迎えているはずなのだけど……。

昨日は帰ってしまったから、出直しだ。


けれど、もう10時を過ぎ、まだ寝ているとはなかなか思えない時間だというのに、何度インターホンを押してもドアが開かない。

ああ、シャワーか。

そう思うのと、合い鍵を持っているのを同時に思い出したあたしは、鍵を開けて部屋に入る。

と……。


「ちょえぇっ、昨日の女子高生っ!!」

「マコ!」


女子高生に扮した葉司が、慌ただしい様子で部屋の中を動き回っているところに遭遇した。

どさっ……。

どうやら夢だと思い込む作戦は効果がなかったようで、あたしは玄関先で置物のように立ち尽くし、おまけにバッグまで落としてしまった。


「マコ、ごめん。ちょっと急用で、これから出かけなくちゃならなくなったの」