その衝撃は、突如としてやってきた。

つき合いはじめてちょうど1年目の記念日、ハートの風船や、折り紙で作ったカラフルな輪っかでポップに飾った彼氏の部屋。

ちょっと高めのワインで乾杯をし、ちょっと豪華な食事と、ろうそくを1本立てた小さめのホールケーキでお祝いをして、さて、いい雰囲気になってきたことだし、そろそろエッチしましょうか、というタイミング。


……あ、あれ?

いつもは先にシャワーを浴びに行く葉司が、今日は食べ終えた食器やワイングラスを見つめたまま、なぜかテーブルの前から動かない。


「葉司? シャワー、あたし先でいい?」


なんだか、がっついているようで、女の子としてどうなんだろう、とは多少なりとも思うものの、気分はすでに“ソレ”なあたしは、慣れた足どりでバスルームへ向かう。

シャンプーやトリートメント、歯ブラシ、スキンケア用品や下着まで、半同棲状態の葉司の部屋には、あたしの持ち物があるべき場所へあるべきように置いてあって、例えば、着の身着のままで来ても余裕で生活できるのだ。


「マコ、ちょっと待って」


けれど、若干緊張しているように聞こえたその声が、ワインのアルコールでふわふわとしているあたしの足を止めた。