ドクンッ…ドクンッ…

朝、れいの耳に入ってきたのは心臓の音やった。

他の音よりも先に、自分の心臓の音を聞くと安心する。

“よかった。今日も生きとる。”

普通の人なら、ほんなことは馬鹿らしいって思うかもしれんけど…

でも…死を境に生きるれいは、発作が起きるたびに『あぁ。もう死ぬんやないか』って思う。

れいの心臓病が分かったんは、ちょうど1ヶ月くらい前。

それより前から病気になってたらしぃて、今ではもう助からんっぽい。

れいはもうすぐ死ぬんやから、落ち込んでたって仕方ないやろ?

ほやから、この病院で毎日楽しく過ごそぅ思てんねん。

だって、れいがどうこう言ったって死ぬもんは死ぬんやろ?

それやったらしゃーないでぇ。

それで助かるんやったら…今も生きようとして足掻いとるって話よ。