【2】


「ねむ…」


あくびをしながら
橋の上に行くと


…え…


そこには


橋の手すりに座って
ボーッとしている女がいた


あぶねーな…


「おい…危ないぞ」


「………」


俺の方を見向きもせずに
ボーッとしている


…なんだよ…


「お前、聞こえてる?手すりに座った女」


「………え…?」


かなりびっくりした顔で
俺をみる女


「そこ危ないぞ。落ちたらしぬ」


「………え…?私に言ってるの?」


は?


「他に誰がいるんだよ」


頭おかしいのか?


「え…ち、ちょっと待って…私が見えてるの…?」


「当たり前だろ」


なに言ってんだこの女


「………っうそ……っ」


え…


顔をしわくちゃにして
涙を流す


「え…?何故泣く?」


「……っうっ……っ」


大粒の涙を流す


…まずい…

慰めるとか苦手だ…


とりあえず逃げよう


「…じゃ」


女を置いて
家まで走る


この出会いが


俺の人生を大きく
変えることになるのであった。