土方さんがいなくなり、沈黙が続いた。

「あ、あの…名前は?」

その沈黙に耐えきれず、あたしは言葉を発した。

「僕は沖田総司です。」

おきた・・・・そうじ。

「よろしくお願いします…あの、沖田さん・・・・・でいいですか?」

呼び名を確認する。

「いいですけど僕はなんて呼べばいいですか?」

あぁ・・・・そっか。

あたし名前がないんだった。

「じゃぁ、沖田さんが名前付けてください。」

そういうと、「はぁ…」といいながらも2、3分黙りこんだ。

そして、突然顔をあげて、言った。

「誠なんてどうですか?」

『真琴------』

その声に思わず身を屈める。

「っ?!」

沖田さんが誠といった瞬間、真琴と呼ぶ綺麗な声が聞こえた。

「気に入らなかったようですね。」

沖田さんが言う。

「あ・・・・いえ、違います!
でも・・・・その名前は・・・・」

そういうと、沖田さんは「めんどくさいですねぇ」と言いながらまた考え込んだ。


―――――今のはなんだったんだろう?

そんなあたしの疑問は深い闇のなかへ溶けていった。