柔らかい木の匂いが、鼻をかすめた。

ぼやぼやと意識が戻ってきて、背中に布団の感触が戻ってくる。



何時・・・・?



ゆっくりと瞼を持ち上げようとするけど、睡魔が襲ってきて開けられない。


半ば強引に目を開くと、今にも落ちてきそうなほど古びた天井が視界に入ってくる。


体を反転して時計を見ると、夜の11時だった。




・・・そうだ。すっごい眠くなって、ちょっと寝ようと7時くらいに横になったら、そのまま寝ちゃったんだ。


まだショボショボする目を、何回も瞬きすると、少し頭が痛くなった。





「お兄ちゃん!起きて」


やっと上半身を起こした僕に、妹の沙由の声がふりかかる。


もっかい寝てやろうかと思ったけど、
これ以上寝たら、儀式に間に合わなくなるのでやめた。



「・・・もう起きてるよ」



少しかすれた声で、僕は沙由に向かって呟く。



ユラユラしながら立ち上がり、僕は電気をつけた。