「うす!」


「おぉ、未来。」


授業が終わると、必ず幼なじみの佐東未来がオレの席へやって来る。


「お前数学の時間相変わらずボーッとしてたな、見てたぞ。」


未来がニヤニヤしながら言う。


「‥しょうがないだろ?あの先生の授業つまらねぇし、同じ問題を何回もするし。オレたちあの問題何回といたっけ?」


オレは指をおって数えるフリをする。


「ははっ、確かにな~。何がしたいのかわからない部分がある‥、修也?どうした?」


未来が不思議そうな顔でオレを見てくる。


それもそうか。


行動がピタリと止まっていたら、誰だって不思議がるよな。


「あ?‥いや、ちょっとな?」


未来に言われて、慌てて再び動き始める。


ゲームがしたい‥。


だが、この高校に一年以上もいると情がわき、ゲームをすることに戸惑ってしまう可能性がある。


どうすればいいのか‥。


「まー、お前が考えてることは、いつもろくな事ないもんなー。」


未来が笑いながら、オレの肩をたたく。


何故たたくんだよ‥。


たたかれた肩を手でおさえながら、少し未来を睨みつけた。


「そんなこと言うなよ。しかも肩いてぇし。」


「ははっ、それは悪いな。」


そんな未来の声はオレの耳には届かず、下を向いて考えこむ。


この学校でさえなければ、ゲームができる。


この学校でさえ‥‥??


「あ!!!」


「どうした!?急に大声出して珍しいな!」


オレの声に驚き、未来の目が大きく広がる。


これしか方法はない!!!


「オレ‥さ‥、転校するわ。」