「えっと‥、つまりこの公式をだな‥。こうすると‥。」


「‥つまらねぇ。」


頬づえをつきながら、誰にも聞こえないくらいの小声で呟く。


オレの名前は清川修也。


部活無所属の高校二年生だ。


今、数学の授業をしている最中なんだが、先生の説明が下手くそすぎて聞く気にならない。


先生が少しキョロキョロとあたりを見渡しながら、黒板に問題を書いていく。


生徒の表情を気にしているのだろうか?


「じゃあ、そろそろ問題をといてもらおうかな‥。清川君、わかるかな?」


オレかよ‥。


他にも暇そうなヤツなんて、周りに沢山いるのに。


ハァとため息混じりの返事をして立つ。


ガラガラと椅子を引きずる音が、静かな教室に響いた。


「5x-3yです。」


「よし、よく聞いていたなー。偉いぞ。」


その言葉とは裏腹に、顔が少しもいきいきとしていない。


これでこの問題何回目だ?


なぜかこの先生は、同じ問題を何回もしている。


認知症なのか‥?


それとも、違う問題を出すことによって嫌がる生徒が、次から反発するのではないかと恐れているだけ‥?


あはは、オレの考えすぎだな。