ピピピ‥‥♪


腕だけ伸ばして、目覚まし時計のベルを止める。


窓の方を見ると、カーテンの隙間から眩しい光が差し込んでいた。


「ヤバッ!!早く準備しねーと!」


急いで起きてあたりを見渡すと、昨日と全く変わっていない。


いつも広人と同じ私立の制服をかけていた場所には、公立の制服がかけてある。


本当にあれは夢だったのか‥‥。


改めて夢だとわかるとため息がでてしまう。


いや、そんなため息をついている暇はない!!


急いで学校へ行く準備を!!


朝風呂といってもシャワーだが、急いで体をキレイにして学校へ行く支度を済ませた。


「お!髪を整えて、朝ご飯つくって、食べても余裕で学校につくな。」


白い携帯電話で時間を確認しながらリビングへと向かった。


もちろんあの黒い携帯電話はどこにもなかった。


ガチャ。


「あら?修也??変な物音するかと思ったけど起きてたのね。」


そう言いながら母さんが、エプロン姿で朝ご飯をテーブルの上に並べていた。


あ、そっか‥。


これからオレがご飯をつくる必要がないのか‥‥。


ラクになって良いが、少し寂しく感じた。


それと同時に恥ずかしくもなる。


本当にこういう勘違いはなくしていこう。


そう心の中で誓っていたとき、ボサボサの髪をした広人がリビングへやってきた。


まだ寝ぼけているようでゴシゴシと目をこすったり、頬を軽くつねったりしている。


こういうところは全然高校生には見えないんだよな‥‥。