『Caféサプリ』を失いたくない。

だけど私に一体何ができる? カフェで働いたこともないし、料理も上手くない。

でも、ここを好きな気持ちだけはある。それしかない。ううん、きっとそれが大事なんだ。

私は意を決して口を開いた。

「樹さん。このお店、私に手伝わせてもらえませんか?」
「千穂ちゃん?」
「アナタがこのお店を?」

私の申し出に樹さんと加絵さんは目を丸くして驚いている。

「できることは少ないと思います。でも、ここがなくなるなんて絶対に嫌なんです。それにやりたいことがやっとわかった気がします」
「やりたいこと?」
「誰かの拠り所になれる場所を作りたい……樹さんがこのカフェを開いた目的ですけど、私もそんな場所があればいいなと思います。私が作り出せるなら作りたい」

樹さんに「癒される」と言ってもらえて嬉しかったし、自信になった。新たな可能性だと信じたい。

「千穂ちゃん……ありがとう。でも、君の大切な将来だよ。俺の夢を押しつけることにならない?」
「いえ、むしろ進みたい道が見つかったようで嬉しいんです!」

不思議と前向きな気持ちでいっぱいだ。見えない将来へ、ただ漠然と頑張るのではなく、目標が見つかったからかもしれない。