住宅設計部のメンバー100人ほどが顔を揃える宴会は圧巻で、広い和室のどこに私は腰をおろせばいいのかわからずおろおろするばかり。

経理部の宴会はせいぜい30人ほどだから、その規模の違いにも、宴会の会場の広さにも驚いて、部屋の片隅で立ち尽くしていると、背後から先輩に声をかけられた。

「神田さんも、今日の主役のひとりだから上座に座っていいのよ」

「え?主役のひとりって……」

振り向くと、住宅設計部で経理関係の事務をしている先輩が笑っていた。

私よりも三歳年上の愛子先輩。

「相模主任のサポートのために臨時で来てくれているのに、忙しくて歓迎会もで
きなかったから、部長が神田さんの歓迎会も兼ねろって提案してくれたのよ」

「そ、そんなのいいですいいです」

愛子先輩の言葉に、慌てて首を横に振って辞退するけれど、愛子先輩はそんな私を見越していたようにくすりと笑った。