森の中は静かだった。


本来なら騒がしいハズの虫や鳥の声さえ、闇の中に吸い込まれてしまったかのように、深く、暗い静けさがのしかかってくる。



昼間は姿を見せないコウモリが羽を広げ、自分たちをあざ笑うかのように飛び回った。



「もう、やめようぜ」


誰かがそう言いだすのを、皆が待っていたと思う。


でも、その言葉を言う奴は誰もいなかった。



薄気味悪い森を彷徨いながら、ただ時間が過ぎるのを待っていた。


夜中の三時まで、罰ゲームはそう決まっていたからだ。


この森は昔から"出る"と噂で、子供の頃から森の周りはグルリとフェンスで囲まれていて、今では消えかかった《立ち入り禁止》の文字が印象に残っていた。