(ハッ…なんだ夢か)

最近同じ夢ばかり、そう
あの時の記憶が何度も…何度も。

「っもう、気になるじゃないか」
「それにしてもあの少女は…」

何処かで見たようなそんな気がしてならない、
だけど顔も名前も何故かぼやけってしまって…もう。

 ヒュオ―……

「ん?」

何か落ちてくるような音がしたので仍が見上げようと上を向くと。

 ズドォォォォォォォオン―

「ゴホッっ、ゴホッ…んだよこれ」

一瞬訳が分からなくなったので
とりあえず周りを見渡すと、そこには。

「ゴメンなさぁい重力操作ミスっちゃったですよぉ」

鷹のような目、クリーム色のウェーブの掛った髪の毛
体にそぐわない大きな輝く羽を背中にたずさえた少女がいた。
とゆうか…

「リュエル、またお前か。」

ちょっと呆れたように仍が笑ってみせると、

「だって混合前とかなり違うんですよ、だから力が制御できないんですぅ」

ご自慢のクリームウェーブの髪をなびかせ、
穴のあいた屋根からこちらを見下ろしていたリュエルは
大きな羽を背中の術式みたいなもので縮小させながら飛び降りてきた。

あざ笑うように言ってみせるリュエルに、

「さすがに多いだろ、15回目だぞ」

少しジト目気味に言ってやると…

「フフフ、そうですねぇ…あと50回は落ちるかもしれません」

(…絶対からかってるな…)

リュエルはまさに天使の微笑みを見せると、ふと
仍の顔色が悪いことに気ずいた。

「それにしてもぉ、何かあったんですかぁ?」

目のクマを見つけたリュエルは、心配そうに仍の顔を覗き込んだ。

「まあ、気にするな」
(夢のことをリュエルに言う訳にも…な)

「またあの夢ですかぁ?」

ギクッ…えっ…何で知ってるんだよ。

「やはり図星みたいですねぇ」

この反応を待ってたかのようにリュエルは
嬉しそうに当たりましたぁ、とガッツポーズしてみせた。

「何で分かったんだよ…まさか天翼種の能力か!?」

本気で驚いているとリュエルはのほほんと笑いながら

「違いますぅ、ただの感とゆうか仍は分かりやすすぎるんですよぉ」

とパシパシ肩を叩いてきた。

「んー、じゃあ気分転換でもしますかぁ」

ふと思い出したかのように言うリュエル、

「何処か行くのか?」

「はぁい、狭間の森にいいところをみつけたんですぅ」

楽しそうに話すリュエルだか…

「おい…そこって危険地区じゃ…」

「深くまで行かなければ大丈夫ですよぉ」

…分かってのことらしい。

その後も行くのを止めようとしていた仍だったが
リュエルの癒しオーラには抗いがたく、結果
結局行くことになってしまった。

行く気満々のリュエルは仍の腕をつかむと

「さぁ、でわレッツゴーです」

そう一言言い仍を持ち上げ。屋根の上へ

「は?えっちょっと…まっ…」

仍の制止をスルーし、暴れる仍を押さえつけ
小さくしていた羽を元の大きさに戻したリュエルは
飛ぶために魔方陣を編み出し始めた。

「そういえばぁ仍は高いとこ平気ですよねぇ」

思い出したように聞くリュエル。

「無理、むりむりむりむりダメだから、ホントに、ね?」

一方仍は高所恐怖症なので必死に抵抗

しかし天翼種のリュエルにただの人間の仍が勝てるわけもなく
アルト(金縛り)を掛けられ、

焦りすぎてキャラ崩壊が始まった仍をよそに

「では行きますねぇ」

 バサッ…

仍ごとリュエルは空へ羽ばたいた。
どんどん高くなっていく景色の中、


あぁぁあ、 降ろしてえぇぇぇぇぇ―………

仍の叫びは虚しく町に響くのであった。