それから何事もなく、平和な日々を過ごしていた。
いつの日からか、昼休みは5人で屋上で過ごすことが日課となりつつあったある日の午後。
平穏だった日常が1本の電話から変わろうとしているとは、誰もが想像しなかった。










「あれ?創くんから電話だ」

「創くんが日中にかけてくるなんて珍しいわね。花菜、早く出てあげなよ」

「うん…。もしもし?…今?お昼休みだけど……えっ?!創くん?ちょっ……どういうこと?!」

「兄貴、花菜が混乱してるから俺が電話変わった。花菜に何言ったの?……へぇ~、それで?相手は誰なわけ?……っ!……わかった。花菜には俺が説得して連れていくから。ただ、兄貴…。俺の隣でめっちゃ睨んでるアンタの婚約者の機嫌とりよろしく!」

「なんですってー、律!」

「ほら、兄貴から」

「っー…。もしもし、創くん?…うん。…うん。それは聞いたけど…、でも…。うん…わかった。私も今日は行くから。じゃぁね」








あかねは電話を切ると、花菜に携帯を返した。