ザアザアと雨が降るなか、傘もささずに打たれる一人の子供の姿があった。

不審者を見るような目で見てくる周りを気にすることなく、迷彩柄キャップをかぶり空を見上げる子供。


片手には金属バット。


赤い液体がたらりと地に流れ、こびりついて離れない赤黒いナニカは金属バットの存在を主張する。


もっともっと、この金色を真っ赤に染め上げて、と。



「……はれれん、オカシイぞう、おかしいぞう。僕ちゃんの鼻にい、なあんか汚い臭いがこびりついてくるう。きゃふふふふふうっ」



大好きな人の前では狂ったようにバットを振り回し貪り喰らうくせして、本人がいなければ感情が欠陥しているのではないかと思われるそれ。

目はどこか一点を見つめたまま。されどふらふら酔っ払ったように歩く子供は路地裏へと入りこんだ。